電波ソングについて(ジャンルについて)

前にも書いたけど、あっちは本当に雑感というか個人的な電波ソング視聴履歴みたいなものだったので、今回はもうすこし深く考えて書くことを目標にする。

下の動画をBGMにして読んでね(集中できないけど)。萌電波大全集。このシリーズはホントにすごい網羅っぷり。

まず「電波ソング」というカテゴリを定義するのは難しいっていうことについて。
前回も書いたしどこかでも言われている事だと思うけど、また書く。電波ソングに歌は不可欠なもので、でも一方その歌が乗っかるトラックというのは、ロックからテクノ、演歌まで様々なものがある。だから個々の電波ソングは音楽性から規定されるジャンルとしては全く別物であって、これがたぶん定義する上での一つの問題になるんだろう。

いやしかし、曲調から定義しづらいという状態は、そのまま「J-pop」や「洋楽」「ワールドミュージック」みたいなカテゴリに対しても言えてしまう。つまり「電波ソング」は音楽的なカテゴリではなくて、もっと広く大雑把な文化的なカテゴリに過ぎない、と。

でもやっぱり「電波ソング」群の音楽的な一体感は「J-pop」のそれよりもっと強固なのは確かで、その"一体感"の部分が電波ソングの本質を担っているはず。

例えば電波系の有名なアーティストは、「MOSAIC.WAV」はロックからテクノ、グリッチとかノイズまではいかないけどそんな感じで、「I’ve」はトランスとかハードテクノとか?「あべにゅうぷろじぇくと」はテクノポップ・・・みたいな大雑把なジャンルの認識が出来る(個人的なイメージで)。でもこれらのアーティストはそんなジャンルのトラックだけ作ってるわけじゃなくて、いろんなジャンルのトラックで一つのアルバムが構成されているということも普通にある。というかむしろそれがデフォルト。

多分「J-pop」や「洋楽」が個々のアーティストで曲のジャンルがほぼ決まっているのに対して、「電波ソング」のアーティストはそこまで曲のジャンルを統一することに拘っていないんだろうと。それはリスナーに対しても同じことが言える。電波ソングリスナーは、これらの曲調の違う曲を全部電波ソングというカテゴリに一括りにして聴いているという現状があると思う。

この状況は、多くの電波ソングがエロゲのオープニング曲であることに原因があると思う。電波ソングのアーティストはいろんなメーカーに雇われて作品を作っているということ。ここのメーカーはこのアーティストをよく使う、みたいなのはあるにしても、アーティストは様々なタイプのエロゲ作品を背景にして、それにある程度合わせた曲を作らなくてはいけない。多分。そんなわけで一組のアーティストがロックを作ったりテクノを作ったりということが多くなってしまうんじゃないか。

で、リスナーにとっても、それぞれの曲の評価にはその背景にあるエロゲの印象が深く関わってくる。つまり背景に文脈が重ねられるってことなんだけど。この背景(あるタイプのエロゲ)によって規定される音楽性というのが、「電波ソング」の輪郭を形作っているのではないかと。この背景の文脈というのは、DJテクノウチさんが「読む音楽」という本で使っていた言葉を借りて「音楽以外の音楽」といってもいいかもしれない。

多少の好き嫌いはあれアーティストやらリスナーが「電波ソング」のジャンルに関して雑食であるだろうということは、本来自由に作曲していいはずの声優のオリジナルアルバムや、電波ソングをメインに作っている同人サークルにおいても収録曲のジャンルがまちまちであったりすることからも分かる。ニコ動の萌えソング電波ソング大全集(たくみP)なんかをみても、音楽的にはばらばらなのに何故か全体としてはまとまりがある気がするっていう。

D

まあこんなところで今回は。まだ本論に入ってないけどとりあえず。

次回はエロゲに背景を持たないオリジナルの同人電波ソング東方Projectに背景をもつ東方アレンジ電波ソング、について書きたい。書けたら。


追記:ついったーで電波ソングを紹介している"電波ソングbot"たんがこの記事にリンクしてくれました///
電波ソングbothttp://sciandeng.blog38.fc2.com/blog-entry-370.html
紹介してる曲リストは眺めているだけでテンション上がるw


mossya