はがないのリアルさ (肉論なし)

最近抽象的なことを考えなさすぎていよいよ脳が死んできているのでやばい。半年ほどデスクトップに書きかけで放置されていたこの肉論を推敲しアップすることで、弛みきったニューロンに多少のきらめきを取り戻すことが出来るのではと考え今書いてるんだけど。まあタイトルでご察しのように肉、本名星奈タソがかわいいのでそのことを記しておく必要があったんだけど、好きすぎて完全に愛の告白にならざるをえなくて書けなかったね。松尾芭蕉が松島で俳句を詠めなかったみたいな感じだよね。8巻読んだらまた書くかもね。


なのでまあ雑多な感想です。以下ネタバレあり

僕は友達が少ない」通称"はがない"について書こうと思い立って2か月くらいたった時から更に半年が過ぎた。小説8巻まだですかって書こうと思ったら最近出たのね。まだ読んでません。アマゾンのレビューを見る限り予想どおり8巻は素晴らしい展開のようですね。以下は小説7巻までとアニメを見ただけで書いたものだけどまあそんなにズレてはいないと思う。

”友達”というテーマについて。現実においては友達を作るっていうことはそんなにハードルの高いものではないと思っていて、まあ恋人を作るとかそういうのに比べてってことだけどね。でも物語のはじめの頃に夜空というコミュ障の女の子が言っていた、今日まで他人だったのに今友達だと宣言すれば明日からは友達なのか?みたいなよく覚えてないけどそんな疑問って誰しもが感じたことがあるよね。

でまあこの作品はそういう安い共感を裏切りつつ客観的にみてリア充な主人公がハーレムを作る話で、実際ラブコメなんだけど。ラブコメってほぼ恋人同士になることが目的で友達関係はもう前提なのが一般的だと思うけど、その前提になる低いハードルですら飛び越えるのを保留しておく感じね。草食系とかいうけど結構これってリアルだなと。はがないに限らず昨今のオタク系の物語はそういうハードルを下げまくるけど飛ばないっていうスタンスで受け手の共感を得ているように思う。最近多い否定系タイトルな作品はまさに。俺の妹がそんなにかわいいわけがなんちゃらとか、お前をオタクにしてやるから俺をリア充にしてくれ?とか、私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!みたいなのとか。読んでないけどどうせそうだろう。基本生殺し。別に悪いとは思ってないしむしろすきなんだけどねそういうの。二次創作でハードル越えるみたいな。エンジェルビーツとかも結構まじめっぽくやってるんだけど本質的にはこういうのに近いと思う。前にもどこかで書いたような気がするけど、keyの作品はその辺敏感で、ABの世界観では一見恋愛が排除されているように見えるんだけど、実際は最終話みたいな結局そこかい!みたいなさ。友情物語のつもりかもしれないけどこの作品で泣けるやつって結局天使ちゃんペロペロしたいだけのやつじゃん!みたいな。そういう不純さを隠してまじめっぽくやるか、開き直るかどうかの違いだけで。


あと昔あったいわゆるハルヒ鬱とかっていうのも作品内の人間関係のハードルの高さと現実のギャップが原因のように感じる。僕はハルヒはそうでもないんだけど、とらドラに関しては殺しにかかってるのかと思うくらい最高に鬱いアニメだと思う。はがないも欝だって言う人もいそうだけど、はがないの鬱さはNHKにようこそとか、げんしけん的な鬱さに近くて、基本的には登場人物に共感して作者の狙い通りに鬱いみたいな、ハルヒとらドラ鬱とは違うものだと思う。


話を進めると、この作品は友達がいない登場人物たちが隣人部という部活を通して友達を作ることを名目上のゴールとしているんだけど、客観的にみるとその隣人部の関係というのは友達関係あるいは恋愛関係でしかない。登場人物もそれに薄々気づきながらも、なお隣人として振舞う。さっきの話で言うとハードルを越えないってことなんだけど。

登場人物は皆、現実以外の部分に自分のキャラを形作る根拠みたいなものを持っていて、彼女らは“男の娘”だとか”変態”だとか、”厨二”だとか、そういったまぁありきたりでいかにもな設定によって特徴づけられているんだけど、この作品はその設定を獲得した根拠までを説明しているという点がリアルなんだよね。たとえば小鳩だったらくろねくが好きで厨二キャラになっているし、幸村は戦国武将が好きでああいうキャラになってる。バカテスの秀吉なんかはそういう裏の設定を見せずにああいうキャラになってるから、ベタに感じる。
さらにメインヒロインの夜空と星奈に関してはその辺の設定が物語の中で変化しながら形作られていく。星奈は始めはエロゲなんかやってなかったし、物語が進むにつれ段々キチガイのようにキモオタになっていく。夜空も言わずもがな、物語の中で成長するキャラクターとして描かれている。そのキャラ自体もテンプレートから少し外れているというか、より現実的な痛さというかリアルさ、キャラ的に洗練されてなさみたいなものがあって、ほかの登場人物とは少し区別される。実際、登場人物の中で普通に友達出来なさそうなのは夜空と星奈だけで、ほかはまあ特に性格的な問題って無いんだよね。7巻あたりからその辺は他のキャラについても面白い感じになってるので、8巻早く読みたいんだけど。

あと、はがないでは作中よくゲームをするんだけど、エロゲとか。そういうゲームの中でも現実というか物語の中での現実と同じように振舞う星奈や夜空は、ゲームの中でも結局はバッドエンドを迎えるっていう。ゲーム内の設定やヒロインの言動にツッコミをいれたりするあたりにまた夜空や星奈のキャラとしての洗練されてなさ=リアルさみたいなのがあって、まあ単純だけど良いんすよね。二次元のキャラがエロゲをやってバッドエンドを迎えるっていうのはまた見る側としてみればバッドエンドがむしろ救いというか、NTR回避しましたわ〜的な感じだよね。どんなに低いハードルでも越えないっていう。

ブリキ絵についても触れておくと、ブリキ絵の魅力はひとつには萌え絵なんだけど妙に写実的だったりするところにあるように思う。なんというか例えばフィギュアかドールかっつったらドール寄りな絵で、より具象的な感じなんだよね。でそれがうまい具合に妙にリアルなはがないの登場人物を表現できてるというか。


そんなかんじで。駄文だけど多少のリハビリにはなったと思われる


mossya