まんがタイムのアーキテクチャ@mossya

まんがタイムアーキテクチャ
〜『ゆるさ』生成装置としての4コマ〜


タイトルでほぼすべてを語り終えてしまった件

先月まんがタイムきららキャラットをはじめて買ってみました。買うの恥ずかしかったです。

私は普段ほとんど漫画を読まないのでまあ当てにならない感想なんですけど、良い雑誌だなと思ってしまいました。
なのですこし考えたことを書いておきます。くどいようですが私はほとんど漫画を読まない人なので突っ込みどころは多々あると思います。バカなこと言ってるなーと思ったら突っ込んでください;

ここでは今流行のアーキテクチャの視点からこの雑誌を見ていきたいと思います。

言うまでもなく、まんがタイムシリーズは4コマ漫画をベースとしています。
4コマ漫画の最大の特徴は、漫画を描くためのフォーマットがあらかじめ決定されているという点にあると思います。

まんがタイムきららの場合、見出しを書かなければ、一つのコマが85mm×63mmに設定されているようです。(図:投稿作品のフォーマット。ホームページより引用しました)

このようなまんがタイム的なアーキテクチャは、作者(あるいはコンテンツ)に対して次のような特徴を要求しているように思います。

・ミニマルなビジュアルとキャラクター
・ストーリーの断片化

など。
絵柄は小さいコマに収めても分かりやすいように簡略化されがちです。2コマ以上にまたがった絵などはあまり見当たりませんでした。同じ絵の使いまわしも手法的に行われています。すべてのコマが並置され、それぞれのコマの内容によって微妙な濃淡が事後的に出来ています。

ストーリーは4コマごとにある程度オチがつけられるため、その都度分断されます。そのせいか、普通の漫画のような毎週読んでないと楽しめないみたいな感じがあまりありませんでした。(もともとは暇つぶしに読むような雑誌だと思うので、ストーリー自体を軽視している、ともいえるかもしれないですが)

パトス・ハメのNo.5で前田久さんと冨田明宏さんが、『ゆるさ』と『ガチさ』みたいな話をしてて、最後にアニメ版のけいおん!をべた褒めしてました。作品全体のゆるさに対して、京アニの映像のガチさ、みたいな。(パトス・ハメは面白いのでおすすめですhttp://www.voltagenation.com/mailmag.html)
たしかに、まんがタイムでやってるけいおん!についてガチで語る人はあまりいなそうだし、語れない気がします。(つまらないという意味ではありません)例えば、デスノートとか(読んだこと無いけど)なら、漫画単体でもガチで語れる人はいると思うのです。
でもアニメになると、けいおん!も、演出がどうとか、よく分からないけど、語ってくれる人は出てくるような気がします。京アニしゅごいです。

私がきららキャロットを読んで面白いと思ったのは『ゆるさ』を徹底して読者に提示し続けている姿勢みたいなものです。
コンテンツのゆるさだけではありません。
毎週、毎月買って読まないとついて行けないようなものではない、ゆるい、漫画との関係に魅力を感じます。
そして作者が個人でゆるさを狙ってやってるというだけではなくて、“雑誌自体が、ゆるい漫画を生成するように働いている”という点が、すごいことだと思うのです。