蛍光灯萌え?

最近会社の先輩と話していて面白かったのが、世代とか年収、地位と照明の好みの関係について。

曰く、基本的にリッチな人間は暖色系の電球色を好む。アパートなどを見ると、家賃が高そうなところは廊下も電球色で、各部屋の照明もそのような色が多い。逆に安いアパートはほぼ白色の蛍光灯を使っている、と。一方で体験談として、高齢のお客さんで役職も高い方に何かの福祉施設だかのロビーで暖色系の間接照明を提案したら、そんな辛気臭いのは嫌だ、キッカリ明るくしてくれ、といわれたとも。で昔の人(戦前〜戦後すぐの生まれ)は明るさ=正義という考えを持っているんじゃないかと。まあ無茶な一般化ではあるけどね、とのことでした。

僕は結構蛍光灯の明かりって好きなんだよね。電球色というと、暖かみが〜、とか、リラックスできる〜とか、室内が暗いヨーロッパでは〜とか、人間の脳は夜になると〜、とか、どうでも良さマックスでしょう。暖かみとかフェイクだから、たいまつでも使ってろ!って感じですね。まあ僕いま机で使ってるのは電球色の蛍光灯なんですけどねwwあまり好ましくないとは思っている。

以前奈良美智さんが、自分はなぜか蛍光灯が好きでそれは描きやすいっていうのもあるけど育った環境にもよるんじゃないかみたいなことを言っていたけど(10+1の青木淳さんとの対談でした)、僕も全く同意なんだよね。明るさが正義!っていう感覚ではないけど、小さい頃から蛍光灯の下で育ったせいか白い色のほうに親しみを感じる。ただ、実際奈良さんの小屋系の作品の照明では、ほぼ電球色を使っていたように思うんだけどねwこれは僕の感覚なんだけど、やっぱ対外的には蛍光灯は悪というスタンスをとらないといけない世論があるんじゃないかと。作品は蛍光灯の下で描くけど、まあ実際展示の雰囲気は電球色のが受けるっしょみたいな。勝手な想像だけど。

蛍光灯についてさらに言うならグローランプがついてる古いタイプの蛍光灯が好き。今引っ越してきた和室の部屋は傘が透明プラスチックの型板で箱状になっていて、四隅に木(プラスチック)の棒がついていて、大小の輪っかの蛍光灯が下から見えて、紐で引っ張って点ける、かなり平成元年的なデザインのものなんだけど。この紐を引っ張ってから点くまでチカチカいう感じとか、豆電球が無いために一回空打ちになる感じとか、結構愛しいと思うわけです。論理的に説明できないあたりアレですが。育ってきた環境がそうだから好きになる、というのはまあ正しいけれども安直過ぎる気もするんだよね。

蛍光灯のよさについて、懐かしさが影響しているのかもしれないとも考えた。懐かしさというのは人をたぶらかすもので、古きよき、という言葉に象徴されるようにそれだけでセンチメンタルな雰囲気に浸ることが出来る。ただ懐かしさに持続性は無いから、たとえは子供のころに見てとっくに忘れていたようなアニメを大人になって発見して、全話とまでいかなくても数話見返してしまうと、もう発見したときの懐かしいという気持ちは塗り替えられてしまう。そう考えると僕が蛍光灯に感じている良さというのは懐かしさとは違ったものなのだと思う。ずっと使ってるからね。やっぱりこの良さは質感というかそのものの特性によるものなのだろう。

そもそも、僕はLEDの照明が出てきて蛍光灯から更新されていく今の状況を見るまで、それほど蛍光灯の自体の物質性、質感や特性みたいなものについて深く考えなかった。蛍光灯はニュートラルなものとして捕らえていたと思う。部屋を均質に照らすもので、なるべく無視されるものというか、意味を持たないものという認識が強かった。それが今蛍光灯を凌ぐシャープなLEDの光が使われるようになってきて、途端に蛍光灯の物質性が浮き出てきた感がある。LEDに関しても今はまだ発展途上といった感じで、コンビニなんかで使われているのを見ると点光源を列に並べた形のが多いけど、蛍光灯のように線的に光る商品もあるっぽいので、今後よりニュートラルな光源として使われていくのだろう。

まあいつものごとく結論らしきものは特に無いんだけど、蛍光灯っていいよね!蛍光灯萌え〜って記事でした。

mossya