瀬戸内旅行記5(これでさいご)@mossya

8/25
さて、旅も終わりに近づき、この日は瀬戸内芸術祭を見るために高松からフェリーで直島に渡る。朝は6時半起き。7時半にはフェリー乗り場についてないと第一便に乗り遅れる。フェリーには自転車をそのまま積めるから楽でいい。分解して持ち込めばタダだけど、まあ確か300円くらいだし。
フェリー乗り場で煙草を吸っていると、香港から来たというおばさん(おねえさん?)にチャリを褒められた。これはESLポッドキャストで鍛えた英語力を試すチャンスか?と思って、頑張って応答したけどイマイチうまくいかなかった。去年の秋に香港行きましたって片言で伝えたら何処が良かったの?みたいに聞き返されたから、「カオルーン・イズ・ベリーインタレスティング」って答えたら「オイェー」みたいに言われた。あと「バンク・ホンコン・IMペイ」も通じたw。あっちの人は一般人でも建築に結構興味があるのかな?直島に来るくらいだからそっち系の人なのかもだけど。IMペイとかノーマンフォスターとかって単語が普通に出てきたからね。日本人が知ってる建築家つったら安藤忠雄くらいでしょ。英語はもっとうまく話せるようになりたいなー。
フェリーは予想以上にでかかった。客室のこれまたでかいテレビからは朝の下らない番組が流れていて興ざめした。まあ旅行者以外にとってはこれが普段の電車かバスみたいなものだからね。中でコンビニ弁当を食べてうろうろしていると直島に着いた。50分くらい。
フェリーの中から。向こうに見えるのが香川
宮浦のフェリーターミナルはSANAAの設計。中をトラックが走ったりするのを見ると物流センターか何かみたいな雰囲気だけど、色が白いし四方が完全に開いているので開放的で明るい。
いつものさなーっぽい雰囲気
トラックとかぶつかったら100%曲がる
直島に着いたら、前日のガイドの助言をもとにすぐさま「地中美術館」(安藤忠雄設計)へ。バスに追い越されたけど開館してすぐ入れる整理券はゲットした。開館の1時間前でこんな状況。中は写真禁止なのでご勘弁を。外も建物自体が埋まってるのでカフェを出たとこのテラスからしか撮る場所がない。安藤さんの建築はどれも好きってかどれもほとんど同じに見えるけど、地中美術館は今まで見たどの建物よりも完成度が高かった。現代建築には違いないんだけど、なんか古い書院建築みたいな静謐さも同時に感じちゃうのが不思議。こりゃー海外でも評価されるわーって思う。建物の目玉になってる正三角形(!)の中庭があるんだけど、もうなんか宇宙を感じるよね。よく分からんけど東洋的な宇宙。中庭はミニマルなコンクリート打ち放しの壁に囲まれてるんだけど、その何層にもわたる打設の跡が奥行きをもった山水画のようにも見える。一方それは「建てる」ことによって出来た地層(壁層?)であって、島を「掘った」ことによって見えていたはずの地層に対するフェイクにもなっている。こんなに掘りまくってるんだから、一箇所くらい土がむき出しになった本物の地層も見てみたいものだけど、それを館内で見ることは出来ない。「掘って建てる」っていう荒唐無稽な作り方の裏に、すごく哲学を感じたというか。パンフなどでは建物を「埋める」という言葉を使っていたと思うけど、「埋める」というよりは「掘って建てた」って感じ。展示品ではジェームズタレルの「オープンフィールド」がすばらしかった。青くて均質で全く遠近感がない部屋のやつ。他のももちろん良かった。人の多さと順番待ちさえなかったらね。すいた時期なら最高の場所だったな。
美術館前の道路脇にはいろんな花とか植えられたてた。
次に向かったのは李禹煥美術館(こっちも安藤忠雄設計)。とここで問題が。島の南側のベネッセハウスのあたりは広い範囲にわたって自転車進入禁止らしい・・・
!!!えええ!と思った。パンフレットとかにもっとデカデカと書いてほしいよそういうことは!バスに乗せるための手口なのかわかんないけど。つうかあんなぎゅうぎゅうのバスでピストン輸送されたら雰囲気も何もあったもんじゃないと思うんだけど。暑すぎるからまあ歩くよりはマシかもしれない。チャリがどう考えても最高なんだけど島の南半分の3分の1くらい進入禁止なんだよね。直島は自転車で来るべき場所じゃなかったらしい。もう何で進入禁止なのかまじ意味不なんだけど仕方なくゲート前にチャリを止めてそこから歩くことにした。少し歩くと李禹煥美術館がある。李禹煥という人はよく分からんけど四角い鉄板の彫刻とかが飾ってあった。建物は地中美術館見た後だとインパクトない。
ここからベネッセハウスミュージアムまでさらに歩く。暑いし坂だしもう嫌になった。結局またチャリがあるゲート前まで戻らないといけないとか考えたらもうね。ベネッセミュージアムには結構有名な作家の作品があった。デビットホックニーの絵をはじめてみれたのはよかった。プールのやつ。
さらに島の南へ歩いていくともういくつか作品があったらしいけど、もう暑すぎて歩きたくなかったので引き返した。浜辺で一人水遊びをした。寂しかった。予定では島の西側の宮浦から南側のベネッセのあたり、東側の本村エリアと島を半周して戻ってこようと思ってたんだけど、その計画は頓挫した。チャリを止めておいた場所から山の中を通って本村エリアに向かう。
島自体は本当に狭い。でも歩くと遠いと感じるような微妙な距離感。本村エリアに入ってすぐ見えたのが大竹伸朗の「はいしゃ」。これはキターって感じで塞ぎがちだったテンションが一気に回復した。かっこよすぎる。外も中も。これはgrafがいい仕事をしているのかな?紫の吹き抜けの部屋とかあまり見たことないプロポーションというか雰囲気の空間だったし、全体的にコラージュのセンスがもうヤバイ域に達してるよねw
はいしゃ
あと本村エリアは他にもいくつかみたけどそこまで・・・って感じなので全部は割愛する。まあ作品と一緒に町の雰囲気を感じてしみじみする感じだよね。あ、「角屋」はよかったな。水盤の中にデジタル時計みたいなのがピカピカいってるやつ。あと残念だったのはジェームスタレルの南寺がみれなかったこと。見れなくはなかったけど待ち時間がクソ長かったからあきらめたんだけどね。ここは見たかったらなるべく早めに行って整理券をもらっておくのがいいと思う。
そんなことより本村エリアにはリア充しかいなくてどんどん精神が疲弊していった。というか直島にはリア充しかいないということに気づいた。あれ・・・ここって一人で来ちゃいけない場所だっ、け・・・みたいな・・・。芸大生っぽい学生集団・・・カップル・・・親子ずれ・・・外国人・・・。僕も友達と来てカッフェでビールとか飲みたかったよ。クソ暑い中ほとんど乗らないチャリ押しながらペットボトルのお茶をね・・・。
そんな感じの場所だったな。直島は。
最後に宮浦戻って、ターミナル前の古い定食屋でビール飲んでカツカレー食べた。そして〆の銭湯。友達と別れて一人旅になってからはなんだかんだで毎日銭湯に行っていた。そんな旅の最後に大竹さんの銭湯というのは何とも感慨深いものがある。まあ定食屋のおばちゃんにはボロクソに言われてたけどね。あの銭湯。実際風呂としては微妙だったけど一回は入ってみたいかなーみたいな。外見もすごいけど中もすごい。浴場の仕切りの上にデカイ象がいたり。シャワーの「押」ボタンとかも特注になってる。浴槽はしょぼいプールみたいなのがあるだけだけど、何処かしこに大竹さんの作品があって不思議な雰囲気だった。I♥湯Tシャツを買った。
直島銭湯。大竹臭がすごい。あとチャリの後ろに銀マットがないことにお気づきだろうか。猪に会った次の日もうイラネと思って駅で捨てたのでした。
そんな感じで直島終わり。帰りのフェリー乗り場で地元のおじさんに話しかけられた。島には三菱マテリアルの工場が古くからあって、そこに勤めているらしい。そう考えると恵まれてるよなー直島は。おじさんも言ってたんだけど、ここはオフシーズンに来たほうがいいわ。暑くなくて、人が少ない時期。わざわざ瀬戸内芸術祭とかいうのにうかされて来るやつは情弱だねwあとチャリは持ってきても意味無いwオフシーズンなら通行止め解除されてるかもしれないけど分からん。すいてる時にもう一回くらい来て、今回見てないほかの島とかもゆっくり見たいな。豊島の美術館も出来るしね。
帰りは高松ではなく岡山の宇野市へ。宇野駅東の倉庫がアーティストのアトリエ兼ギャラリーとして使われていた。持ち主の不動産屋さんがいい人でアーティストに格安で場所を提供してくれているらしい。イベントも結構やってるみたいだったけど、利益は出ているんだろうか。
奥に見える倉庫。ちょっとくらい大きい音とか出しても大丈夫らしい
入り口
中。アトリエとギャラリーがほとんど一緒になってる
宇野市から電車で岡山市へ向かう。岡山で一泊してもいいかなーと思ってたんだけど、新幹線がまだあったので東京まで乗ってきてしまった。東京で一泊して次の日美術館と秋葉原をみて帰宅。
東京でみた美術館の感想とか書こうかと思ったけどそれほどでもなかったのでやめとく。森美術館の「ネイチャーセンス展」は良かった。デザインサイトの「これも〜展」もよかったけど順番待ちが酷いので行くなら朝一がおすすめ。
そんな感じで旅のレポートは終わり。飯奢ったり宿貸してくれたりしたMと田中に感謝。旅行記最後まで読んでくれた方はお疲れ様でした。


今回の旅のベストスポット
秋吉台秋芳洞! あそこはまじでおすすめ!


反省点
・携帯の電池パックの予備を持っていなかったこと(野宿すると次の日死ぬぺリア)
サイクルコンピュータをつけていなかったこと(走った距離とか分かったほうが楽しい)
・夏の野宿をなめていたこと(テント必要)
・事前に建物の休館日とか調べてなかったこと(基本)
・カメラにゴミが入ってたこと